五海ゆうじ写真通信73

「シベリアと沈黙」

山田實と石原吉郎
生き方はまったく違いますが、
二人に共通しているのは、シベリアの強制収容所にいたことなんですね。
山田實は2年の収容所生活をおくり、日本に帰還し、沖縄に帰還し、
シベリア帰りをひた隠し、カメラ店を経営しながら沖縄の人々を撮影していく。
石原吉郎は8年の収容所生活をおくり、帰還し、
生きる事の、喜び、悲しみ、怒り、すべてを自分の胸に封印し、
言葉を一語一語紡ぎ出し、詩を書いていく。

 私へかくまった
 しずかな像は
 かくまったかたちで
 わずかにみぎへ移せ
 像のおもみが銀となって
 したたる位置で
 したたるとき
 私へやがて身じろぐのは
 位置と位置の間(あわい)ではない
 もはや時刻のかたむきである

石原吉郎は断言する
「私にとって人間と自由とは、シベリアにしか存在しない
(もっと正確には、シベリアの強制収容所にしか存在しない)」

ここのところ、セミナーの講義によく使っている一冊の写真集があります。
山田實写真集「故郷は戦場だった」(未来社刊)
山田實は沖縄に帰還した後、
土門拳が提唱する「絶対非演出の絶対スナップ」を方法として、
沖縄戦があった荒野で生きる人々を撮り続けた。
彼の、眼差しは、あくまでもやわらかくやさしい。しかしです。
その奥に秘めたる核は、
おそらくシベリアでの抑留生活なんですね。
だからこそ、この眼差しで撮れる。
まぁ、私は、そう思っています。
もう一つ、この写真集の解説、仲里効「ゼロ萌えるー無名への愛と鎮魂の詩学」
久しぶりにおもしろく、鋭い写真家論になっている。

写真通信4で石原吉郎について少しですが書いています


写真はベトナム、ホーチミンからハノイへの1号線沿い、2景
vietnam41-bw2.jpg

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2014/8/3




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Author:iikonodon
広告写真を撮りながら、花と植物、街と人、の写真を撮る作業を続けています。
2011年より電子書籍の出版を開始しました。

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