五海ゆうじ写真通信84

「プリントとシンガポール」

プリント、つまりモノクロプリントの事です。
先日、友人(崔洋一)から電話があった。
「今、近代美術館で奈良原の‘王国’をやっているがプリントが素晴らしい
渾身のプリントだよ、日にちがもうないけど」
そう言われればですよ、なんとしてでも観に行かなければ、
最終日になんとか時間をやりくりし駆けつけた。

奈良原一高は、そうですね、今の若い人はよく知らないかもしれない。
1967年「ヨーロッパ静止した時間」という、写真集を出した。
この写真集、当時相当な話題になり、
奈良原の評価を決定ずけた写真集でもあるんですね。
学生時代、この写真集についてよく話していた。
といおうか喧嘩腰で議論していた。
私は、どうもこの写真集から漂ってくる、純文学風が気に入らなく、
どっちかというと反奈良原で話をしていた。
しかしです、いつでもです、
私の頭の片隅には奈良原の写真があったように思うんですね。
「ヨーロッパ静止した時間」から遡る事10年、
彼は、女子刑務所、トラピスト修道院に入り込み写真を撮っていた。
そして「王国」として発表した。
「王国」は奈良原の「人間の土地」に続くデビュー2作目で
新人として世に名を知らしめた作品でもあるんですね。
それが今回の写真展「王国」なんです。
見たかった写真です。
彼の視線、そしてモノクロプリントの技術、
久しぶりにいい写真を見た。
それが正直な感想です。

それで、シンガポールはなんだよ
はい、それはですね、まったくそれとは関係ありませんでして、
先日「花を撮る」のワークショップで
シンガポールの植物園に行ったということでして。。。
でです、またまた話はとびますが、
最近の街歩きカメラはSONY NEX5というカメラでして、
このカメラ、レンズと板という発想で生まれたカメラなんで、
なんかその不細工といってもいい姿がおもしろく使っているんですね。
シンガポールの写真はそれで撮っていますです。

シンガポール2景
_018singapore2.jpg

_003singapore2.jpg

2015/3/5

五海ゆうじ写真通信83

ブロニカとGR

昔々ですがブロニカ(通称ボロニカ)という6×6のカメラがありました。
国産ですよ、
6×6サイズのカメラではもう一台同じ国産でマミヤの2眼レフがあった。
この2台は、ハッセルを買えない貧しいカメラマンの
それはそれで大切な道具になっていたんですね。
まぁ、私もその一人でありましたです、ハイ。
フリーになったとき、つまり失業者になった。ということでもありましたが、
友人から譲り受けたブロニカで細々と、しかしですね、
それはそれで食うために懸命に写真の仕事をしていた。
そして少ない仕事の合間にブロニカを持ち街を歩き、
ひたすら写真を撮り、撮った写真を事務所に持ち帰り、
この当時仲間と小さいですが、渋谷の片隅に事務所を持っていたんです、
なんてたって渋谷ですよ。。。
暗室で作業するのが、この上なく楽しい事だった。
そして、やがてブロニカは中古で買ったローライに変わっていくんですね、
エッヘンではありますが。。。
うーん、やっぱプラナーのレンズはいいなー、
なんて事も思いつつ写真を撮っていた。
しかしです、悲しいといいましょうか、
なけなしのこの2台のカメラは故障して動かなくなってしまった。
そういう事もありつつ、中判のカメラはRZに変わっていくのでありますが、
そして35mmのカメラです。
私は学生の頃から今でもですが、
ニコンの殿様商売に何度も「コンチクショー」と思いつつも
ニコンを使っているんですね。(最近は少しはよくなったか。。)
まぁ、ニコンは置いておいてです。
何時の頃だったかな。。。
リコーがGRというコンパクトなカメラを出した。
6×6のカメラが無くなってからの(この間ははしょりますですハイ)
街歩きカメラはこのGRになっていったんですね。

そして、なんといいましょうか、結局は、
私はハッセルもライカも持つ事もなく、
デジタルカメラの世界に入っていくんですね。

写真はブロニカの一枚とGRの一枚
「時と街の片隅で」
1976年
[06]1986_itsumi yuji

1997
[10]1997東京有楽町

2015/2/12










五海ゆうじ写真通信82

「自由の意思とG-Modern」

明大前のモダーンミュージックの話です。
その店を主宰する生悦住さんが中心になって
PSFレーベル、そして音楽雑誌「G-Modern」が
立ち上がってきたんですね。
私は「G-Modern」の中で、
どっちかというと世間の人があまり知らない、
といおうかほとんど聞く事もない、
いわゆる即興、アンダーグランド、フリーをやっている音楽家を
つまり困難な作業を続けている音楽家を
取り上げ、写真を撮り、取材をしていったんですね。
この作業は、その当時吉沢さんのパートナーだった
メグと一緒に始めた作業でもあるんです。
タイトルは「自由の意思」と決めた
ちょっと大げさなタイトルかも知れない、
そうも思っているところがあったんですが、
まぁ、なんといいましょうか、私の願いのようなものもあったんで、
そのタイトルでスタートした。

しかしですね、この音楽の世界、あまり金にはならない。
それは間章との作業、吉沢さんを撮り続ける作業でも
実証済みではありまして、
私としては解って始めた作業でもありました。
その当時は曲りなりにも広告の仕事がわりとといおうか
少しではありますが順調にいっていた。
ということもありますが。。。。
そしてですね、この「自由の意思」のライターはですね、
メグから始まり何人かを経て結局最後は私が書く事になった。
ただ、これが作業としておもしろかったんですね。
そして、いろいろな経験をさせてもらった。

どんな経験だよ、エー、まったくよー
はい、それはですね、できればまたの機会にでも。。。

「G-Modern」は2010年29号を出し、止まっている。

アレンジ 山崎竜
_090memi753.jpg

「人の中へ」徳島県牟岐駅
徳島県牟岐駅sikoku 127

2015/1/21

五海ゆうじ写真通信81

「年末とSchuricht」

友川かずきの話でした。
歌です。歌手です。
好きな歌手の一人、ずーと昔から絶えずLou Reedを聴いてきた。
パリで行われた彼のおそらく最後のコンサート
このビデオを見ていて、ビリー・ホリディーの「Lady in Satin」を思いだしていた。
なんか、簡単にこれはいいよ、とは言えんなぁ。。
そんな感じでありますが。。。。

ちょっと最近の仕事を
日本国際薬膳師会10周年記念誌の写真を担当させていただきました。
「デレク・ベイリーを聴く会」
ゲスト出演した時の模様がアップされています。
フォトアドバイスでワークショップ「人を撮る」シリーズを始めました。
まぁ、私の基本は人を撮ることでありますから、
そこらあたりをなんとか伝えられないかと思いましてですね、始めたんですね。
第一回は「和太鼓を撮る」
第二回は1月18日(日)教室で「身近な人を撮る」を開催します。
興味ある方はぜひ、

とまぁ、いう事でです。
私にはクラシック音楽についていろいろと教えていただいている
師匠といってもよい方がですね、
2人いるんです。
先日師匠の一人から、
これおもしろいからと指揮者SchurichtのCDが届いた。
Schurichtはブルックナーの9番が好きで、
ときたま引っ張り出して聴いてるぐらいで、
あまり詳しくないんですね。
届いたCDの中にベートーベンの交響曲全集が入っていた。
まぁ、年末でありますから、それではと9番を引っ張り出し聴いておるんです。
考えてみれば9番をきちんと聞いた事はなかったんですね、
かくして2014年は9番とともに暮れようとしているのであります。
一言付け加えるならば
Schurichtの9番はちょっととりはだもんではありますです、はい。

写真はワークショップ人を撮る「和太鼓」から2景
演奏は「太鼓笑人めでたい」です
wadaiko1.jpg

wadaiko2.jpg

2014/12/23




五海ゆうじ写真通信80

「永山則夫と足立正生」

1993年、PSFから出された友川かずきの「花々の過失」
このアルバムは私に様々な驚きを与え、そして発見させた。
友川の言葉(詩)、歌唱方法、そしてもう一つ
アルバムの最後に永山則夫が作詞した「黒い花」が収録されていることだった。
エー、やはりといおうかなんといおうか。。。。

1968年~1973頃、まぁ、もう、遥か前、私の若かりし頃でありますが、
横浜の場末の街の片隅で住み込みで働き、
その後、日雇いの立ちんぼで工場等で働き、
そして、とあるプロダクションの暗室マンに潜り込んでいくんですね。
その時代、世の中は騒然とはしていた。
そして、若者達は世界に叛旗をひるがえし街を駆け抜けていた。
そんな連中に共感する部分と反感を持つ部分を胸に持ち、
ただただ黙々と歩き、ジャズ喫茶でジャズを聴いていた。
そんな時代、私の支えといおうか、愛読書といいましょうか、
一冊の本があったんですね。
1971年に出版された永山則夫の「無知の涙」
永山則夫の生きて来た道は、
田舎を出て、ある意味ですが、
都会に翻弄されていた私にとって他人事ではなかった。
永山則夫は米軍宿舎から盗んだ拳銃で4人を射殺し、1969年逮捕される。
逮捕された時の年齢は19歳10ヶ月、私はその時20歳だった。
そしてその事件に誘発された足立正生は、
永山則夫が辿った道をカメラ(映画)を持ち、歩き、
風景映画の可能性を示した「略称、連続射殺魔」を撮る。
音楽は富樫雅彦と高木元輝が担当(ISOLATION)。

先日、「間章、読書会」にゲスト出演した折り、
このアルバム「ISOLATION」を聴く機会を得たが
(迂闊にも私はこの演奏を聴いていなかった)
これは、よい。今でも力を持ち続けている。

「花々の過失」は、私にそんな事を思いださせてくれた。
そして、その後、
PSF(生悦住さん)は友川のアルバムを立て続けに出していく。
そして、私は「ワルツ」と言う曲にも出合うことができた。
こんな歌を唄っているやつがいたのか、
その歌は、移り行く時代に背を向け、
自分を見つめ続ける彼の強靭な意思をも感じさせる。

1997年8月1日
永山則夫、死刑執行

写真は「夢の足跡」
新幹線より 広島~博多間
新幹線・大阪~広島

新幹線より小倉付近
新幹線・小倉付近

2014/12/5
プロフィール

iikonodon

Author:iikonodon
広告写真を撮りながら、花と植物、街と人、の写真を撮る作業を続けています。
2011年より電子書籍の出版を開始しました。

※当ブログ内の写真、テキスト等の
無断借用、転載などは固くお断りいたします。

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